| 平成23年7月27日(水)、秋田県立大曲農業高等学校で体験入学が実施されました。今年は、実体験を通じて農業高校の専門的な授業に理解を深めもらうことを目的として、3学科(農業科学科、生物工学科、生活科学科)から計14の体験講座が開設され、同校を志望する中学校3年生が、それぞれ希望する講座を受講しました。
そのうち生物工学科環境バイオ班の体験講座では、青森県地球温暖化防止活動推進センターの「農業高校を拠点とした北東北温暖化防止地域ネットワークの形成」事業(以下、あぐりてぃーん事業、参照:「模範プロジェクト発表会」記事)の一環として、中学校3年生
20名、保護者3名が参加し、「環境について考えよう」をテーマに実験と研究発表が行われました。
初めに、大沼克彦氏(同校 生物工学科 博士号教諭)が、現在行っている田沢湖水の水質改善研究について、「田沢湖はクニマスやアユなど多くの魚が住む湖だったが、玉川温泉から強酸性の水が引き込まれ、魚がほとんど住めない湖となってしまった。かつての豊かな湖に戻そうと、酸性となった水質を電気分解により改善する研究を行っている」と説明し、その効果を検証する実験が行われました。
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講座の様子(1) |
講座の様子(2) |
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| 研究の説明をする大沼氏 |
実験の説明をする大沼氏 |
<実験方法>
(1) ビーカーに田沢湖水500mlを入れる
(2) pHメーターで田沢湖水のpHを計測する
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pHメーター |
pHの値を測定する中学生 |
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| pH測定の様子
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(3) 田沢湖水が入ったビーカーに電極を入れる
(4) 田沢湖水に電源装置で100Vの電圧を15分間かけて電気分解する
(5) pHメーターで田沢湖水のpHを計測する
水溶液(水の中に物質が溶けたもの)には、酸性・中性・アルカリ性の3つの性質があります。例えば、酸性とはみかんのように酸っぱく感じるものなどで、一方、アルカリ性とは石けんの泡のように苦く感じるものなどです。これらの度合いを表すために、溶液中の水素イオン濃度の量を表す指数である、pH(ピーエイチ)という0から14までの数値を使います。pH=7が中性で、それより数値が小さいほど酸性が強くなり、それより数値が大きいほどアルカリ性が強くなります。
実験では、田沢湖水水質改善研究チームの小松仁貴君(同校 生物工学科 2年)、畑佑君(同1年)、伊藤惇平君(同1年)の3人の高校生たちの指導のもと、4班に分かれた中学生たちが、それぞれ田沢湖水の実験前と実験後のpHの値を測定しました。
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中学生に教える高校生 |
左から伊藤君、畑君、小松君、門脇さん |
その結果、酸性を示していた田沢湖水のpHの値は、中性・アルカリ性よりに大きくなりました。
<田沢湖水の電気分解実験の結果>
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1班 |
2班 |
3班 |
4班 |
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実験前のpH |
5.7 |
5.8 |
5.6 |
5.5 |
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実験後のpH |
6.8 |
7.8 |
8.3 |
8.2 |
大沼氏は、この結果について、「玉川温泉の水には塩酸(塩化水素の水溶液)が溶け込んでいるため、田沢湖水の水素イオン濃度が高くなっている。田沢湖水を電気分解することにより、分解された塩素と水素がそれぞれ電極から気体として空気中に放出され、誤差はあるもののpHの値が大きくなった」と解説しました。
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気体が発生している電極 |
電極を観察する中学生 |
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| 電極を観察する保護者
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次に、地球温暖化防止研究チームの門脇真凜さん(同2年)が、「地産地消で地球温暖化を防ぐ!!」と題して、研究発表を行いました。
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門脇さんの発表の様子(1) |
門脇さんの発表の様子(2) |
門脇さんは、「地元で生産した農作物を地元で消費する地産地消は、輸送に伴う化石燃料からの二酸化炭素の排出量を抑制し、地球温暖化防止につながる。そこで、実際に地産地消を推進している地元農業団体を取材したところ、温暖化対策だけではなく『保存料を使わない安全・安心な野菜作り』という側面があることも学ぶことができた」と、昨年度の活動を紹介しました。
そして、「地産地消の有用性と地球温暖化についてさらなる検証を行うため、(1)地産地消を推進しているほかの農業団体の調査や、(2)二酸化炭素の温室効果実験を行っていきたい」と、今後の活動への抱負を語っていました。
最後に、大沼氏は、「授業でただ知識を得るだけではなく、様々な分野に興味を持って、知識をどのように活かすかを考えて学問に取り組んでほしい」と、同校を志望する受講生に対して激励のメッセージを送りました。
講座終了後、参観した保護者たちは、「今回の体験講座では、普段なかなか聞くことができない興味深い内容だった。このような専門的な研究をするためにも、子どもには是非同校に進学してほしい」と話し、あぐりてぃーん事業のさらなる展開に期待が持てる講座だったと思います。また、大沼氏は、「電気分解で発生した気体について、今後エネルギーとしての有効活用の方法を模索していきたい」と話しており、県南デスクとしても積極的に協力して、同校の活動をさらに盛り上げていきたいと思います。
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秋田県地球温暖化防止活動推進センター
県南デスク 栗林弘昌 |
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