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ACCCA 秋田県地球温暖化防止活動推進センター

 

ひと言
* マツ枯れ対策ボランティアの思い 2006/4/27

最近、秋田県がマツ枯れ対策として、関西以西ですでに失敗や経験した出来事を再現しているようでなりません。

マツ林の再生にこだわる気持ちは理解できるのですが、行政の財政圧迫(特に植林後の防除費用)や土壌環境、それに地球温暖化に伴うマツノマダラカミキリなどの害虫の北上など、秋田県では初めてでも、他県では経験済みです。

対策としては、やはり一般的には広葉樹なのですが、その樹種については、カシワが有用と思っています。

マツが全枯れした地域は、自然植生に戻すべきであり、中世の秋田の海岸林(カシワ)に戻すべきと考えております。これが生物多様性につながり、ひいては地球温暖化対策にもなると考えております。カシワの提供できる生物生息環境の貢献度は北海道や石川県で実証されております。

また、酸性雨については、pH4.5前後まで秋田県は低下しており、植生(特に針葉樹)に非常な負荷がかかって危険水域にあります。この辺の閾値(いきち)を超えると植生が一気に変化(現状生物が死滅し別の生物群に変わる)することが世界的に実証されております。最近の研究では、マツやスギ、オオシラビソにおいて、酸性雨が樹木や土壌内での濃縮作用がはたらき、これらの樹木が弱ることが実証されております。今後改良されたマツを植林した場合、害虫には強くても、生息環境が悪化して害虫に寄らなくても枯れてしまうことになります。したがって、本県では、土地本来の樹種であるカシワやミズナラを主体とする樹種が最適と考えており、マツ林が不可欠という特殊狭域に限定してマツを植林するというゾーニングが必要だと感じております。

青森の西津軽の屏風山に高山稲荷神社という有名な神社がありますが、そこがカシワの原風景をとどめている貴重な場所です。

以前から、カシワを含むブナ科広葉樹は琵琶湖や島根県などまでの日本海岸で普通種であったものと思っております。最近の花粉調査では、琵琶湖湖底からもカシワの花粉が発見されております。したがって、北海道一円を含めカシワの生息地域は日本海沿岸特有の植物と感じております。しかし人為的理由で内地では減少した種でもあります。

自然植生を大切にする立場からは、マツはあまりにお金のかかる贅沢な樹なのです。破綻に近い秋田県自治体財政の現状を考慮すれば、海岸林にふさわしい土地本来の樹をもう一度県民が見直す必要を感じております。

林業技術センターでは、最近マツを汀線側にし、内側にカシワミズナラで樹林帯をつくり、ゾーン化する提案をしております。画期的なことで、全国でも初めての考えです。昨年10月天王にカシワのドングリの播種を、本州で公の機関として初めて実施しました。こうした研究者の地道な実践を大切にしたいものです。

カシワとマツの混交林はすでに県が27年前に向浜に植林し成功しています。混交林でもいろいろなパターンがあります。いま全国的に主流になってきているのは、パッチワークのようなものが良いことが立証されております。マツの純林は植物の免疫効果を低下させ病気や天災にも弱くなります。人間同様、植物も競争しあって生きているということです。

このままでは、マツ枯れ防除の予算ももう数年でおわりです。こうしたことも念頭に入れておかなくてはなりません。



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