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ACCCA 秋田県地球温暖化防止活動推進センター

 

ひと言
* マツ枯れ対策ボランティアの思い 2006/5/26

小学生のころは、地元偉人伝のなかに、必ずといっていいくらい、栗田定の丞の苦心の末松の植林が成功した話が出てきます。県内各地や隣県山形県にも類似した偉人がおります。子供心に教育の場で教わった偉人伝は忘れないものです。しかし、現在では、植林技術や樹種の研究が大きく進歩しました。当時はマツが秋田のような地でも植林できるとは誰も考えなかっただろうと思います。

当時も今もマツは天然分布を大きく超えて植林されております。防風・砂防のため、多くは密植されており、これまで多くの研究者たちがマツの病気の感染や災害に弱いのは密植のためと指摘されておりましたが、防風・砂防のためならかまわないということで戦前戦後を経過しました。

北海道では、この間、マツの密度管理を除伐・間伐を加えることで健全なマツ環境を維持できることを証明しております。さらに、除伐・間伐した空間にカシワやイタヤを植林する試みも行われております。これは本州のマツ林被害を研究した結果、彼ら北海道の研究者たちは、こうした実験を行っているものです。

失敗は成功の母といわれますが、大きな成功経験は、大きな環境変化に支障をきたすことも多いようです。マツ枯れの事態の現在がそうです。いまだに多くの方々がマツにこだわるという気持ちは理解できますが、むしろマツは必要な箇所に限定して植林をする誘導策が良いと考えます。その他は、一般的には広葉樹だろうと考えます。
私どもはカシワといっているのですが、イタヤカエデでもいいのですが、塩風で高木まで成長しません。カシワ(ミズナラを含む)の場合はカエデを越して成長しますから防風作用が多きいわけです。ケヤキも塩害には強いのですが、防風面で枝を広げるまで時間がかかりますから、海岸よりは少々内陸部が適切と考えます。汀線側はやはりカシワ・ミズナラなどであろうと思っておりました。
ところが、森林技術センターでは、汀線側を植林方法の確立されたマツ林としそれを盾(柵)にして広葉樹を植林するように主張しております。非常に貴重な意見だと思います。これならば県民一致してマツ枯れ対策に向かえるかもしれません。

少し話を変えて、秋田県や庄内地域のマツ林はどうしてマツ林となったのでしょうか。一昨年、私は十三湊(トサミナト)の秋田安東氏(青森では安藤氏)の故郷に行ってきました。秋田では津波で崩壊したところと思っておりましたが、国の数回にわたる調査で、砂層が幾重にもなっており、1.5メートルしたから当時の街並が出現しております。しかも飛砂の被害で十三湖の水深が浅くなって、自前の海軍兼貿易船の出入りが難しくなり、衰退したところを南部に滅ぼされたということです。

安東氏等は当時貿易船で沿海州や千島カラフト北海道を含め国内各地と交易を持っておりました自らが定住とする街の自然などには余り関心がなかったようです。岩木山からの建築材を切り出し、それによる土砂の増加や海岸林である当時のカシワを薪や船の用材として用いていたものと推測されます。こうしたことが数百年ほど続いております。したがって防風・砂防の自然林はなくなり、裸同然の海岸のため街並は砂に覆われ始めたものと考えられます。この後を支配した津軽藩は海岸林であるカシワを盗伐した者を打ち首にしたとされるのは、こうした歴史を知っていたからに違いありません。

ところで彼らは船で移動するため、その地がだめなら他の地で移動するのが習性です。そこを捨てて、能代、脇本、土崎に再び居を構え秋田安東氏として栄えていきます。なんと、こうした地域は秋田でマツの美しい白砂青松と呼ばれている地域なのです。彼らは海岸林を食いつくし、裸にし、そこがだめであればほかの土地に移動する。一種の原始日本人の姿が見えます。中世の時代はこうした時代でもあったわけです。つまり植林という定着型の発想が少なかったわけです。

こうして裸になった海岸林は秋田では佐竹による幕藩制社会の確立とともに人口増加と都市化になるにつれ、さらに海岸林は伐採し続けておりました。タダなものは奪って顧みない。それが石油燃料に変わるまで伐採されてきました。

ですから、マツ林はこうした歴史や人間が環境を破壊したケースを理解できれば、秋田県本来の樹木である海岸林としてのカシワに戻すべきだという意見が理解できると思います。教育の現場でも、こうしたことを教えることが大切であろうと考えます。

先日、JRとイオン財団共催の秋田下浜海岸の植樹祭に行ってきました。好天の下1000名の参加者とスタッフ数百人が活躍しました。今回は秋田経済同友会も列席され秋田県の緑復活への取り組みがやっと一本化されたといった思いです。

ところで、席上、日本各地や世界の森林の復活に取り組んでおられる、元横浜国立大学の宮脇昭さんも指導のため出席され、ご挨拶を戴きました。「秋田県では海岸林を復活できないでいるとお聞きしておりますが、今回の私の方式で復活します」という趣旨のご発言を戴き激励されました。内容は、私たちが主張しているカシワ・ミズナラを50%以上にした各種樹種で構成されております。これを混交して自然に生息しているような状態をまねて植樹するものです。したがって、一直線に植えてはならないし同種だけまとめて植えてはならないということです。

カシワくん


ボランティアの集合風景   宮脇氏とJR秋田支社長
ボランティアの集合風景   宮脇氏とJR秋田支社長

好天のもと家族ずれが多い   道川道の駅マツ林下の萌芽更新しているカシワ
好天のもと家族ずれが多い   道川道の駅マツ林下の萌芽更新しているカシワ


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