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ひと言
* 下浜植樹で感じたこと 2006/6/14

先ごろの下浜海岸林の植樹に際し、元横浜国立大学教授の宮脇昭さんが、処方し指導された広葉樹の樹種の数々は、本県にとって大変ありがたいものと思っております。本数は少ないのですが、当地では、なじまないとされていたものも含まれております。これまでの固定観念も少々変えなければと思いました。また当地の「土地本来の樹」が樹種の構成比からカシワ・ミズナラであることを認め、これらを50%以上にした組合せたもので植林されました。こうした一団の広葉樹のポット植えしたものの苗を、各種樹種と混交植樹・まとめ植樹などは、宮脇さん独特の専売特許で行われました。

秋田県では、これまで秋田杉による造林・製品化など針葉樹一辺倒から、やっと最近、広葉樹の植樹の研究に注目するようになって来ました。こうした中、特に下浜地区での佐藤清太郎さんなどの「子ども達による広葉樹による森」などの活躍は注目に値します。その他多くの広葉樹の有用性を認め広めておられる方々の努力もあります。今回の植樹は、こうした方々が広葉樹植林を後押しする出来事として注目しております。

今回の植林が、秋田県内の植林動向へ大きな影響を与えることになったことは確かです。特にJR秋田支社にあっては、施設管理の方向を、これまでのマツ林による鉄道林としての防風・砂防林から、広葉樹特に地元にある自然植生を考慮した海岸鉄道林の方向に変更されたことは、大きな前進であり高く評価されるものと考えます。

ドイツやスウェーデンなどでは、針葉樹が酸性雨などで枯れてくる被害対策として広葉樹を植えるようになって随分経過しました。針葉樹と異なり採算まで時間のかかる広葉樹をあえて選択しているのです。日本の海岸鉄道林とて同様です。約80年でだめになったクロマツ海岸人工林より、自然植生を重視した植林のほうが手間もかけずに長続きし、効率よく自然と付き合えるわけです。JRの経営上貢献度もきっと大きいものがあるはずです。

また同じくドイツ初めEU各国は、硝酸態窒素の抑制にも力を入れております。これは、EU全体で数値目標を定め、抑制を図っているもののひとつですが、日本ではこうした面での規制すらありません。この硝酸態窒素は、秋田県の海岸林などニセアカシヤ林の繁茂するところすべてにあてはまり、現在も多くの植生を変えています。主な被害者はクロマツです。
ドイツでは、第一次大戦後の荒廃した国土にアカシヤを大量に植林しました。これが多くの植生に悪影響を与えていることをいち早く感じたドイツの植物学者達は、その植生への影響の大きさを捉え、土壌と植生に関する研究が進みました。しかし、大戦中、多くの研究者はアメリカに渡りました。ところが、アメリカではアカシヤの窒素分を増産するというその合理性に着目し、ニセアカシヤを活用する方向に進んでしまいました。この考えが占領下の日本へ肥料木として入り込み、朝鮮戦争後も、第一次大戦後のドイツを模写したようにアカシヤの大量植林しております。ドイツでは、大戦以降こうした植生に関する学問が確立し始めました。戦後、宮脇さんはドイツ留学をされていました。このころの最新のドイツの知識を得、そして研究をされました。その後数回の訪独を経て、先生は潜在自然植生という考えを日本に初めて持ち込みました。そして全国くまなく植生を調査され大きな功績を残されました。こうした長年の研究成果の一端を、当地にもいただけたということであり、本県用海岸林の植樹処方箋は、こぞって県民全員が共有し、これをベースに、本県の研究機関も研究に取り組んだほうが実践的研究になるだろうと考えます。

カシワ君



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