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ひと言
* 桂浜で植樹してきました 2008/4/22

カシワくん

平成20年4月19日桂浜植樹に行ってきました。
ことしは、これまでと違って下浜ではなく桂浜での植林となりました。
今年の特徴は、子供たちの団体が多かったことです。子供たちが主役であることは将来の樹木に対する気持ちは長く良好なものとして残るだろうと思います。とにかく植林という事業は数十年、百年単位でしか結果が出ません。現在のご時勢は、結果をすぐ求めたがりますが、このことがどんなにか人々の気持ちをすさんだものにしているかを考えると、このような植林の効果が人々の心を潤すものであることがわかります。親子の共同作業効果、大人の植林指導の手ほどきによる気持ちの伝承など大変に心が癒されるものが多いと感じます。今年は5年計画の4年目。多くの樹種を植えましたが結果を急いではなりません。
来年は、5年計画最後の年です。森林環境税が徴収されることにより、再来年は秋田県主催で行うこともあるのでしょうか。公共事業は道路ばかりではありません。緑化という命の継続事業の意義をもっと考える時代だと思います。
ところで、結果は急がないのですが、これまでの植林を観察すると、最初の年はマツ主体で10,000本植林しました。カシワ、ケヤキを150本ほど、おまけ的に植林しました。この第一回目の場所のマツは90%以上で、活着は良好で順調に生長しております。また苗木の直接植林した広葉樹は活着しておりま すが、マツに比較し生長は著しく遅いものになっております。マツの植林にはポット植えして育てたものに、さらに粉炭を入れで植林しました。これが成功していると考えられます。その後の手入れも夏草の下刈りの継続、防風柵などで至れり尽くせりで行っております。今年ははじめてマツの球果を観察しました。カシワとケヤキは、ポット植えではなかったことや粉炭を使用しなかったこと、客土もなかったことから、生長するには相当の年月を要すると思います。
第二回目と第三回目の植林は広葉樹主体の植林でした。この場合は、すべてポット植えしたものを植林しました。ほとんど1年目の活着は良好なものと考えられました。ところが、その後はマツとカシワ、ケヤキ、ヤマモミジ、イタヤ、ミズナラといった本県に本来ある樹種だけが目立つようになりました。ウラジロガシ やヒイラギ、シロダモ、ネズミモチ、ユズリハなど葉肉の厚い常緑樹系ものは、立ち枯れ等で芽吹きもしなくなりました。根は引き抜いて調べることは出来ませんが、回復は困難に見えます。このことから、最終的には、落葉する樹で、かつ土地本来の樹であるカシワ、ミズナラ、イタヤ等が海岸林に適した広葉樹の樹種であることがわかります。このほか植林本数が少ないのですがエノキなども可能なはずですが、いまのところ見当たりません。

今回の植樹場所は桂浜でしたが、会場の海に向かって右側のマツ林は県有林で、マツ枯れは少ないのです。もちろん薬剤散布もやっているということですが、その林床に多くのカシワが育っているのがわかります。母樹と考えられる高木も近隣に多数あり、かつてここがカシワ帯であることを証明しております。国道を挟んで山側にも多くのカシワ林があります。カシワは冬、葉を落とさず枯れた親葉が新芽を保護します。5月から6月ごろ新葉がでるころ親葉が落ち、そして粉々になって消えます。マツ林内の実生のカシワはマツ林の間から、わずかに差し込む光をとらえるため葉を大きくして光環境を改善します。そしてマツが枯れたとき自らの出番となって急速に高木に生長します。このようなカシワの性質を利用し、マツ林をマツ・カシワの混交林にすることが、ある意味で保険をかける効果があるわけです。ほかの植物では、林床を富栄養化させることから、マツと相性が悪いのです。カシワの場合、自らが持つタンニンが周辺植物の繁茂を防止し、葉を大きく広げることから周辺植物の光環境 を奪い窒素分を生産する植物群を抑制します。それゆえマツが富栄養化を嫌うことと共存可能になるのです。カシワこそマツ枯れ対策の「奥の手」となるはずです。もちろんマツはお金のかかる贅沢な樹ですから、マツ枯れ地域には、手間隙のいらないカシワだけにしてもよいのです。むしろそのほうが財政的には良好な結果となるかもしれません。

このように、これからの植林事業は植生の性質を考慮するだけではなく、コストや生物環境などに考慮した森林整備が求められています。(カシワ)


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